パソコンの「メモリ」ってなに?

PC知識

以前、パソコンのCPUの種類について書きました。
今回は、同じくパソコンの部品のひとつである「メモリ」に焦点を当ててみます。

パソコンを選ぶときに必ず目にする「メモリ 8GB」や「16GB」という数字。
なんとなく「大きい方がいいのかな」と思うけど、そもそもメモリって何をする部品なのか、きちんと理解している方は意外と少ないものです。

今日は、メモリの役割やサイズが小さい場合の弊害について見ていきましょう。

メモリってどんな役割の部品?

メモリは、パソコンの作業台のような存在です。
机の広さに例えるとイメージしやすいでしょう。

  • 机(=メモリ)が広ければ、ノートや本、資料(=データ)をたくさん広げて同時に作業できる
  • 机が狭ければ、広げられるものが限られて作業効率が落ちる

つまり、メモリが大きければ「同時にいろんなアプリを快適に使える」ということです。
逆にメモリが小さいと、アプリをいくつも開いたときにパソコンが重くなったり、固まってしまうことがあります。

ストレージ(SSD/HDD)との違いは?

よく混同されるのが、保存用の「ストレージ(SSDやHDD)」です。
ストレージはデータを長期的に保管する“本棚”のようなもの。
一方で、メモリはあくまで“作業スペース”であり、電源を切ると中身は消えてしまいます

  • メモリ:作業中に使う机の広さ(揮発性。電源を切ると消える)
  • ストレージ:データを保存する本棚(不揮発性。電源を切っても残る)

この2つを混同してしまうと、パソコン選びで「保存容量は大きいのに動作が重い」といった失敗につながります。

メモリ容量によって何が変わる?

では、実際に容量が違うとどんな差があるのでしょうか。
一般的な用途に適したメモリサイズを確認してみましょう。

4GB

  • ネット閲覧やメールなど、ごく軽い作業のみ可能
  • 複数アプリを開くと動作が重くなりやすい
  • 今から買うなら避けたい容量

8GB

  • 標準的な容量で、仕事用にも家庭用にも十分
  • WordやExcelを使いながら、ブラウザで調べ物をしても快適
  • 一般的な用途ならこれで不便はない

16GB

  • 写真編集や動画編集、複数アプリを同時に使う人向け
  • Zoomをしながら資料を開き、さらにブラウザも立ち上げるといったマルチタスクに強い
  • ゲーム用途でも安定して動作

32GB以上

  • 3Dモデリング、映像制作、データ解析など専門的な用途向け
  • 一般ユーザーにはオーバースペックになりやすい

メモリ不足になるとどうなる?

では、もしメモリが不足した場合、具体的にどんな症状が起きるのでしょうか。

1.パソコンの動作が極端に遅くなる

メモリが足りないと、パソコンは一時的に「ストレージ(SSD/HDD)」を使って作業スペースを補います。
しかし、ストレージはメモリよりもずっと遅いため、結果として操作に数秒〜十数秒のラグが発生することがあります。

2.アプリが強制終了する

動画編集ソフトや大規模なExcelファイルなど、メモリ消費が大きいアプリは、必要な領域を確保できないと「メモリ不足のため終了します」といったエラーを出して落ちることがあります。

3.マルチタスクに耐えられない

Zoomで会議しながらブラウザを開いて資料を確認し、さらにExcelを操作する――といった同時進行の作業は、メモリが少ないと極端に重くなります。
結果、会議中に画面が固まったり、相手の声が途切れたりすることも。

4.システム全体が不安定になる

最悪の場合、パソコンがフリーズして操作不能になることもあります。
特に4GBのように最低限の容量しかない場合、ブラウザのタブを複数開くだけでシステムが限界を迎えることも珍しくありません。

どのくらいの容量を選べばいい?

初心者の方は、まず「自分が何にパソコンを使うか」を考えるのが大切です。

  • ネットやメール中心 → 8GBで十分
  • 仕事用で複数アプリを開きたい → 16GBがおすすめ
  • クリエイターやゲーマー → 16〜32GBを検討

また、後からメモリを増設できるパソコンも多いので、最初から無理に大容量を選ばなくても安心です。
ただし、ノートパソコンの場合、メモリ増設をするにはメーカーなどの対応が必要になる場合もあります。

メモリの種類や速度は気にするべき?

メモリには「DDR4」「DDR5」といった種類や、クロック数と呼ばれる速度の違いがあります。
ただし、初心者の方は「パソコンの世代に合った規格が使われているか」だけチェックすれば十分です。

たとえば最新のパソコンではDDR5対応が増えてきていますが、DDR4でもまだ現役で活躍しています。
速度の違いはプロ向け作業でなければ体感しづらいため、まずは容量を優先して選ぶのがおすすめです。

まとめ

メモリはパソコンの「作業スペース」であり、容量が大きいほど同時に快適に使えるようになります。

  • 4GB:最低限(おすすめしない)
  • 8GB:一般的な用途に最適
  • 16GB:マルチタスクや編集作業に安心
  • 32GB〜:専門用途向け

そして、メモリが不足すると、動作が遅くなったり、アプリが強制終了したり、最悪パソコンがフリーズしてしまうこともあります。
だからこそ、自分の用途に合った容量を選ぶことが大切なのです。

パソコン選びで迷ったら「とりあえず8GB以上」「できれば16GB」と覚えておけば、ほとんどのケースで安心できるでしょう。